株高なのに賃金が上がらない?正しくは「賃金が上がらないから株高」だ

 

sa-2
こんにちは。

sa2(@sa2fdi)と申します。

真面目な記事を挙げていますが、実は最近Youtuberになりました。笑

借金して仮想通貨を買った僕が、Youtuberになったワケ

是非一度ご覧ください。

自己紹介はこちらから。

 

株高が続いているが、賃金が上がらないのはなぜだ?

こういった話題を頻繁に耳にするようになりました。

 

経済初学者にありがちな間違いを正しておきましょう。

株価は景気と相関関係にありますが、景気そのものを表しているわけではありません。

株価の意味をマクロでとらえ、経済を見通す力の一助としましょう。

 

 

株高=好景気はもはや間違い

 

長らく、株価は景気の先行指標であるとされてきました。

 

・株によって儲かったお金持ちが消費活動を増やす

・株価の上昇による「景気の上昇感」に流され庶民も消費活動を増やす

単純に考えると以上のようなことが浮かんできますが、これらはあくまでおまけとして考えるべきでしょう。

 

大きな要因となるのは、「投資家が景気を予測して株の売買をしているため、株価が景気に先行して上がる」ということです。

 

投資家が景気の上昇を確信し、その前に急いで株を買い集めているということです。

これはつまり、景気の将来的な上昇が原因となって株価が上がるという状況であり、株高=好景気という関係が成り立っていることを示しています。

 

しかし、2017年後半の実体経済を見るとそうともばかり言えなくなります。

最高値を更新し続ける株価に対して、同等の景気の上昇を感じられたのは株主だけなのではないでしょうか。

その証拠に賃金は上がらず、物価も変動なし。

 

ここで一体何が起こっているのかは、株の根源的な価値を見直すことで簡単に把握することができます。

 

 

余剰価値の行き場の1つに、株価がある

 

株価は企業価値を表すものです。

企業価値とは大きく以下の2つに分けられます。

・非営業用資産(金融資産、その他遊休資産)

・事業価値

 

事業価値とは、企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値を示します。

要は企業にどれだけ稼ぐ力があるか、ということであり、簡易的に企業の経常利益で考えてもよいでしょう。

株価はどれだけの資産があるかと、どれだけ稼ぐ力があるかで決定されるのです。

資産は静的、稼ぐ力は動的です。

株価が大きく変動したときの主因は“稼ぐ力”のほうにあるのです。

 

つまり株高が続く2017年末の現状としては、「企業の経常利益が順調に伸びている」というように理解することができます。

 

企業の経常利益が伸びているが、その割に景気は良くない。

これについては、経常利益の伸びの原因を見れば簡単に構造を把握できます。

 

というより題からして明らかにしてしまっているのですが、この利益の伸びは、コストの代表的存在である賃金をカットしていることが要因の1つになっているのです。

 

賃金を上げない→経常利益アップ→株高という因果関係が出来上がります。

株高なのに賃金が上がらないのはなぜか?といった議論は、そもそもの前提が間違っているということになります。

 

賃金が上がらずに経常利益が上がる状態は、富の再分配論にもつながります。

三面等価の原則はご存知でしょうか。

GDPは生産面・支出面・分配面の3つのどの観点から見ても等しい値になり、それぞれで内訳を分析することができます。

分配面は、1年間に社会が生み出した余剰価値を、誰が利益として享受したかという側面からGDPを考えるというものです。

今回の議題においては、GDP増加分をより多く享受したのが企業部門、恩恵を受けなかったのが家計部門というようにこの話を整理することができるのです。

 

ビジネスオーナーや投資家ばかりが儲かり、家計には恩恵が少ない。

「株高かつ賃金の上昇なし」という状況は、端的に格差の拡大を表しているのです。

 

 

企業が賃上げできないのはなぜ?

 

上がらない賃金に対してよく、「内部留保を取り崩せ!」という意見が見られます。

例えば日本においては、2017年3月期は上場企業全体で最高益を記録しています。

これに伴い、企業の内部留保=利益剰余金も過去最大級に膨れ上がっています。

ここから賃金にまわせば解決するはずではないか、という意見です。

 

しかし株式会社の利益は株主に帰属するもの。

株主が考える効率的な投資先に利益は流れていくことになります。

利益をあげたから賃上げできる、といった簡単な話ではないのです。

 

歴史を振り返ると、バブル期の企業マインドは“従業員ファースト”でした。

利益が出れば給料が上がる。

将来への安心感から活発な消費活動が生まれ、景気を加速させていました。

 

今の日本は、徹底した“株主ファースト”。

多少利益が出たところで、その還元先に従業員を選ぶことは容易ではなくなりました。

なぜ、優先順位が従業員から株主へ移行したのか。

それは、以下の2点に絞られると思っています。

 

1点目は、企業活動のグローバル化が進んだこと。

海外企業との資本関係が増えていくことで、自然と欧米流の“株主ファースト”経営を取り入れなければならなくなったのです。

 

 

2点目は、公的年金の運用が危うくなったこと。

一見何の関係があるのかわかりづらいですが、仕組みを考えれば一目瞭然です。

 

日本の公的年金機関は世界最大級の機関投資家。

GPIFという年金運用法人が資金を預かり、市場で運用して年金を増やしているのです。

その運用額は130兆円にも上り、まぎれもなく世界最大規模となっています。

 

そのGPIFは日本株を大量に保有しているため、企業が株主に利益還元するかどうかが、年金の運用成績に直結するのです。

「年金を維持する」ことは、政府にとって最大の懸案事項。

そこで安倍政権が政府を挙げて企業経営改革に乗り出し、株主への配当を増やしていくように仕向けたのです。

これが、日本企業が一斉に“株主ファースト”へ走り出した大きな要因となっています。

 

日本の経済問題を見つめると、たいていの場合、ある1つの課題に帰着します。

それは、少子高齢化による社会保障費の増大です。

この課題を根本から解決しない限り、その場しのぎの政策でごまかしたところで、めぐりめぐってどこかにひずみが生じてしまうのです。